第36回(平成24年) 飛騨文芸祭
<入賞作品集 飛騨文藝>
<飛騨文藝・序文紹介>
第三十六回飛騨文芸祭に当たって
(社)高山市文化協会長 小鳥 幸男
昨平成二十三年度「飛騨文藝」の巻頭の挨拶に「今年の応募作品は、突然経印的な内容の飛躍を見ることが出来た。その端的な表れが長編物の応募数の伸びが挙げられる。」と記した。
言ってみれば長編物のラッシュ感があった昨年に比べ、本年は、従前のペースに戻った感が有って、やや淋しい気がしないでもないが、昨年も挨拶の中で「文芸を測るに必ずしも文字の量を以ってする愚は、いまさら言うまでもないが」と記したように、今年はボリュームの点において、多少の物足りなさの感を抱いたことを否めない。そんな中で、それぞれの分野における作品の質は、高くても、決して劣るとは思われなかった。
それぞれの文芸のジャンルにおいて、努力された足跡がはっきり読み取れる諸作品を選ぶことが出来たことを喜び、更なる努力を重ねられ、来年は質量ともにすぐれた作品が寄せられ飛騨文芸祭がより充実し、名実ともに飛騨高山の文化の先鋒の役目を果たして欲しいと願っています。
受賞者一覧
文芸祭賞 | 上小家 旭 | 随筆 | 「青島(ちんとう)の砂」 |
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江夏美好賞 | 該当者なし | ||
市長賞 | 大埜間 典子 | 小説 | 「私のマキレイさん」 |
〃 | 小林 高子 | 俳句 | 新しき雨靴の色梅雨に入る 他 |
市議会議長賞 | 下畑 七三 |
随筆 | 「二つの霧」 |
〃 | 尾崎 珠子 | 短歌 | 漁網用のロープをカジキの骨で編みし ハンモック届く気仙沼より 他 |
市教育委員長賞 | 武藤 久美 | 短歌 | 薄氷浮かべたやうな今朝の月 見上げてひとりおはようと言ふ 他 |
〃 | 東濃 敬子 | 俳句 | ざるポンと叩いて伏せる夏隣 他 |
市文化協会長賞 | 野口 喜代男 | 小説 | 「戦場の遺言」 |
〃 | 南 アキラ | 小説 | 「煉獄の嵐」 |
〃 | 坂口 比斗詩 | 評論 | 「福田夕咲と自由詩社」 |
〃 | 谷口 いわお | 現代詩 | 『ばあちゃん』他 |
〃 | 稲泉 真紀 | 現代詩 | 『戀』他 |
〃 | 片岡 和代 | 短歌 | 吾の脳に真白き蝶が舞ふごとく MRIは病巣映す 他 |
〃 | 和田 操 | 短歌 | 「霧の海」飛騨八景の一つといふ 山寺は今日も深き霧に浮く 他 |
〃 | 古瀬 和子 | 短歌 | 冬仕度を終えし吾が家小庭には 円錐形のツリーが並ぶ 他 |
〃 | 小県 孝子 | 俳句 | ハンモツク影持つものの揺れ易し 他 |
〃 | 栗田 美由紀 | 俳句 | 丹念に包丁を研ぐ小春かな 他 |
青竜大賞 | 川上 まなみ | 俳句 | 母が剥く蜜柑の匂い嘘一つ 他 |
青竜賞 | 岡田 未佳 | 短歌 | ひぐらしが帰る時間を教えるよ 寂しい音と一緒に行こう 他 |
〃 | 中島 真紅 | 短歌 | 雲天にトロロアオイの花が咲く 梅雨も開けたと祖母が微笑む 他 |
〃 | 宮之腰 楓 |
短歌 | ツーアウトの声響きたるグラウンド みんなの夏がもうすぐ終わる 他 |
〃 | 川上 まなみ | 短歌 | テスト中あの青空に羽ばたいて いけたらいいなと頬杖をつく 他 |
〃 | 宮之腰 楓 | 俳句 | 早発ちの夏帽置いて来てしまふ 他 |
〃 | 上垣 佳可 | 俳句 | 扇風機乱れる髪もそのままに 他 |
〃 | 尾上 緋奈子 | 俳句 | 涼しさや空に一つの雲もなし 他 |
〃 | 宮本 奈実 | 俳句 | 泣きたいと想うときには夏みかん 他 |
〃 | 中田 璃子 | 俳句 | 朝顔のおはよと言った午前五時 他 |
受賞作品
受賞作品の詳細については、(社)高山市文化協会までお問合せ下さい。