早船ちよ文学碑

碑文

「峠に立つと
 見えなかった風景が
 ひらけてくる
 川ぞいの村、森、遠い町・・・・・
 そこへいく、ひとすじの道。
 峠に立つと
 見えなかった山やまが
 あらわれる
 そのさきにも峠、またそのさきにも。
 そして、未知の世界が
 呼びかける
 峠をこえておいでーと。
 小説「峠」の序詞」

説明

 平成元年(一九八九)十二月十日、早船ちよが卒業した高山町立女子尋常高等小学校の同窓会「藤紫の会」(渡辺たづ代表)、飛騨庭石㈱の寄付と、一口一万円で市民の皆さんに呼び掛けた建設基金により、社団法人高山市文化協会が建設した。
 除幕式では高山市文化協会会長は「文学散歩道が飛騨の文化の高揚と観光の振興につながれば・・・・・」と語っている。
 碑文の詩は、『峠』の冒頭の記述で、主人公が峠を越えて飛騨を出ていくときの思いを描いたものである。

人物

【早船(はやふね)ちよ】
 大正3年(1914)7月25日生、平成17年(2005)10月8日没
 作家。児童文学者。古川町三之町に生まれ、高山市有楽町で育った。旧姓は住田。高山女子尋常高等小学校高等科卒。
 昭和1年(1926)『飛騨毎日新聞』が募った「十年後の飛騨」論文で審査外特別作品となり、将来への片鱗を見せた。8年(1933)上京。評論家の井野川潔と結婚し童話を書き始めた。36年(1961)代表作『キューポラのある街』を執筆し、日本児童文学者協会賞など受賞。『ポンのヒッチハイク』でサンケイ児童出版文化賞。
 平成9年(1997)古川町に「早船ちよ文学館」開館。『ちさー女の歴史』『早船ちよ幼年童話』十巻など著書七十冊以上。