| 2004/01/15 更新(広報第86号より)
いま十年間の夢実る 近代文学館完成へ
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いま十年間の夢実る 近代文学館完成へ
(社)高山市文化協会 会長 小鳥幸男
今年の春は、当高山市文化協会が長年待ち望んでいた夢が実現します。
高山市が着工していた図書館を中核とする生涯学習施設が、その名も「煥章館」と名づけて三月完成、四月にオープンする運びとなりました。
煥章館内には「近代文学館」(仮称)が併設され、館中館としてお目見えします。
この「近代文学館」は十年以上前から毎年その実現を願って、資料収集、募金活動に力をそそいできた当協会の主要な事業でありました。
私たち高山市文化協会が「近代における飛騨のあらゆる分野において、文学にかかわってきた有名無名の人達の作品を発掘整理し、資料の散逸を防ぐとともに、これらの人達の功績を顕彰し保存しよう」とするものです。
この中では、必ずしも中央において名を成した人ばかりではなく、高山の地にあって地道にこの土地の文化向上普及に努めた人達と、この運動に参加した人達の生きた記録を大切にしたいと考えています。
とかく世間一般は、中央で名を成した人をその実体と別の目で評価しようとします。勿論、その人達がそこへ到達認識されるためには、長い時間の努力と生来持って生まれた天性あるいは素質あってのことですが、反面、高山市の文化向上への貢献がどれほどのものかと言いますと、そうしたある意味では、文学の道で嶺に到達された個々人において影響力に差があります。そういった方々の作品はいろいろな形で出版され保存される機会を多く持っていると思われます。一方において地元高山に定着して己れの目ざす文芸活動に励んだ人達の作品あるいは活動の記録は乏しく、ともすると散逸してしまうのではないだろうかと考え、一日も早い時期に「飛騨文学資料館」の開設を高山市へ強く望んできたものです。幸いこの点について、土野市長の深い理解と関係者の賛同を得ることができました。
「近代文学館」はその名の示すとおり、明治以降の近代における文学のあらゆる面にわたって、飛騨高山出身、あるいはこの土地で活躍したか、または、この土地を訪れたかなど、この土地を題材に扱った人々又は作品を中心に、収集保存展示することができるものです。
この資料は必ずや後日この土地における、近代文学の調査研究の資としておおいに活躍することは間違いないと思います。
当面「近代文学館」の構成の中心となるのは、高山出身で名誉市民でもある瀧井孝作さんの作品です。瀧井さんの作品については、幸い、津田亮一さんという方が瀧井孝作研究の精華である『瀧井孝作書誌』を完成しておられます。その資料原本のすべてを津田亮一さんから高山市へ寄贈を受けており、まず完璧な資料といえ、今後、瀧井孝作研究は「高山市へ行け」ということになると思います。
次に、同じ高山出身のプロレタリア作家である江馬修さんの資料が展示されます。江馬さんは小説『山の民』を中心として、飛騨人の苦難を乗り越えて来た歴史を、作品を通じて今日の飛騨人に訴えます。
また、福田夕咲さんの関係資料もあります。福田さんは詩人・歌人として高山に暮らし、その博識をして地元に密着した文化活動を幅広く実践された市民にはたいへんなじみ深い人です。その薫陶を受けられた人は今も市内で多く活動されています。
もう一人は、早船ちよさんです。代表作『キューポラのある街』をはじめ、峠の三部作を書かれた女性作家です。その同級生が何人か市内に在住されています。
ここに挙げた四人の方の作品、遺品を中心に当面の展示は行われますが、前に記したように、有名無名を問わず、高山の地に住んで文学を志された人々の作品のほか、手の跡や写真資料も積極的に収集展示します。
当協会は「近代文学館」をさらに充実したものにするため、資料情報を求めています。より多くの市民の皆様のご協力を望みます。
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